
アカデミー賞受賞で大いに沸く超話題作、ポール・ハギス監督作品『クラッシュ』、アン・リー監督作品『ブロークバック・マウンテン』の2作品をやっとこさ観てきました!
しかもやってる映画館は三ノ宮のシネ・リーブル神戸。
同じ兵庫県といっても、電車を乗り継いで片道2時間!

そこまでして映画館へ観に行く価値が果たしてあるのか?どうせちょっと待ったらレンタルされるじゃん、などと実は大いに悩みました・・・しかし!結果は
行ってよかった!大正解!作品賞は『ブロークバック〜』に行くという大方の予想を裏切り『クラッシュ』に輝いた訳ですが、さて、ワタクシnikeの軍配はどちらに挙がるのか!?
絶賛&ネタバレもあるわよ『クラッシュ』ロサンゼルスのハイウェイで起こった一件の自動車事故が思わぬ連鎖反応を生み出し、ざまざまな人種のさまざまな人間達の運命を狂わせていく・・・
冒頭の自動車事故から遡って36時間前からの出来事を追っていく。
登場人物たちは誰も彼も心の中が怒っている。
怒っていると本音が出ると言うか、普段は表には出さないような差別的な言葉や行動で相手をなじったり、暴力をふるったりする。
そんなエピソードに正直うんざりさせられてしまう。
そんな中、一番初めに涙してしまったエピソードは、鍵屋のダニエルが、銃声の音に怯えてベッドの下から出てこない幼い娘のララに、銃弾を跳ね返す透明マントを着せるシーン。
もちろん、ダニエルが話した透明マントはララを落ち着かせる為に即効で考えたダニエルのお伽噺なのだが、このシーンは父娘の愛情がほのぼのとして、本当に観ていて心がホッとする名シーンだ。
後半、この「透明マント」が思いもかけない奇跡を起こすが、何といっても“信じる”という事の素晴らしさ。
それを充分に感じた実に美しいシーンであったと思う。
そしてスリリングかつ美しいシーンといえばこちら。
職歴17年のベテラン警官で差別主義者のライアンが、黒人のTVディレクターのキャメロンの妻クリスティンを容疑者扱いし、体をまさぐる屈辱的行為を行う。
その後、自動車事故に遭い転倒した車の中に閉じ込められたクリスティンを偶然にもライアンが見つけ助けようとするが、クリスティンは抵抗する。
しかし、爆発の危険を感じたライアンは紳士的に、かつ敏速にクリスティンを救出する。
このシーンは実に丁寧にそしてスリリングに描かれる。
ここでもワタクシ、思いっきり泣かしてもらいました・・・
ベテラン警官としての強い正義感、そして父親に見せていた優しい思いやりが、危険を顧みず嫌悪していたはずの黒人女性を奇跡的に救出するのだ!
他にも好きなエピソードとして、いつもイライラしている地方検事の妻ジーンは、何かとメイドにフラストレーションをぶつけ辛く当たっていたが、あるきっかけでジーンは自分にとっての本当の「親友」とは誰であるか気づく。
上記3つのエピソードでは、相手をギュ〜〜っと抱きしめるシーンがものすごく印象的でした。
抱きしめることで相手の心と体の温もりを感じて、愛し合い、理解し合えるものなんだね。
人間って善と悪が表裏一体で、小さなことでどっちにも転んでしまうものだ。
その上、自分でも気づかないうちに潜在意識の中で人を差別している。
この映画では、たった一日の事件や事故をきっかけに、人が変わっていく様子が描かれる。
もちろん、みんながみんな幸せになれたわけじゃない。
絶望を味わう人もいる。しかし、これから自分はどう生きていくべきか、改めて自分の心の中を問いただすきっかけになったと思う。
ラスト、深夜のロサンゼルスに舞い落ちる雪がとても美しい。
雪を眺めながらキャメロンが、クリスティンに電話で言う「アイ・ラヴ・ユー」
この一言のセリフが、映画の言おうとしていたことの全てだったような気がします。
『ブロークバック・マウンテン』ワイオミング州ブロークバックマウンテンで共に季節労働者として働くジャックとイニス。
厳しい大自然の中過酷な労働をしながらも、二人は精神的にも肉体的にも強い絆で結ばれていく・・・
くぅ〜〜、なんという純愛だろう!全編胸が締め付けられっぱなし。
ジャックとイニス、どちらがなんというわけでもなく自然な形で結ばれ愛し合う。
「好きになった人がたまたま同性でした」っていうだけのこと。
しかし、二人は強い理性が働き一旦は別れ、その後お互いに結婚して子供ももうけるが、それでもお互いの事が忘れられない二人は、たびたび会って幸せなひと時を過ごす。
4年ぶりにジャックがイニスを訪ねて来た時、思わず抱きしめあいキスをする二人。
そんな二人を目撃してしまうイニスの妻のアルマ。
二人で幸せそうにはしゃぐ姿を横目に、ショックで体が硬直してしまうアルマの姿が実に痛々しいねえ・・・

幸せな結婚生活を送っていると自分に言い聞かせてはいたものの、何かイニスに対して言いようのない不安をず〜〜っと抱いていたんだろうな。
例えば、イニスにベッドで抱かれる時、イニスはブロークバックでのジャックとの行為に想いを馳せていたのだろう。
体を重ね合いながらも「心ここにあらず」な夫の気持ちをずっと察知していたに違いない。
ジャックに会うときは、自分には決して見せなかった幸せそうな表情を見せる夫。
しかし、夫には何も言えずにただ黙って見送るしかない妻。
ミシェル・ウィリアムズ、絶妙な演技です!
結局イニスとアルマの結婚は破綻してしまうが、幼い頃に見てしまった同性愛者に対する父親の犯罪がトラウマとなっているイネスは、中々自分の殻を破ることが出来ない。
対してジャックは、回りから同性愛者だと皮肉られても気にせず、堂々と無邪気にイニスに対して愛を求めるのだ。
とにかく、ジャックを演じるジェイク・ギレンホールがめちゃキュートなのよぉ〜!

デレ〜ンとしたタレ気味の目元と、両端がクイッと上がった口元でもってひたすら一途な愛を求める表情に
ヤラレタ
何時間もかかって折角イニスに会いにいったのに、冷たく拒絶されて泣きじゃくりながら車を運転するジャックに胸がキュイ〜〜〜ン
しかし、ジャックがその後メキシコで他の男と関係を持ったことを知ったイニスが激しく詰る所では、イニスの内に秘めた熱い想いが一気に爆発してこれまたヒース・レジャーがいい!

結局、イニスへの想いを果たせず一人寂しく死んでいったジャック。
ジャックの愛を受け入れられなかった罪の重さに気づいたイニスは、今後ジャックだけを想い続けながらたった一人で生きていくのだ。
二人にとっては楽園だったブロークバック・マウンテンでの至福のとき。
2度とは帰ってこない美しい思い出を永遠に胸に抱き、「ジャック、永遠に一緒だよ・・・」
さて、ワタクシnikeは一体どちらの映画に軍配を挙げたのでしょうか?答え、
そんなん無理に決まっとるやろ!では、真面目に・・・ 確かに、多くの登場人物が複雑に絡み合うストーリーを、ここまで見事に分かりやすく上手く一つのストーリーとして構築していった『クラッシュ』での演出は素晴らしく、しかもサスペンスであり、娯楽性も高い。そう考えると作品賞は『クラッシュ』にふさわしかったと思う。
逆に、ジャックとイニスの20年にも及ぶ一つのラブ・ストーリーに、多くの登場人物を絡ませながらも決してキワモノにならず、上質の恋愛映画として描かれた『ブロークバック・マウンテン』
全てのシーンにアン・リー監督の優しい眼差しが注がれた、文字通りアン・リーの映画という気がする。
こちらも監督賞に相応しかったと思う。
とにかく、結局一日仕事となった今回の2本立て強行突破!
ほぼ全編泣き通しだったので目は腫れるわ、化粧は剥げるわで帰りの電車の中大変だったけど、それでも思い切って行って正解!しかも一人で大正解!(誰かと行ったら気を使っちゃって思い切り泣けませんもの)
それでもまだ日帰りで行けただけ幸せだったかな?